
令和の米騒動は、米の大切さを改めて実感する出来事となった。原油高など生産コストの上昇による価格高騰や米の需要が増えたことによる米不足。政府の備蓄米も放出されたが精米が追いつかず、消費者に届くまでには時間がかかった。備蓄米は玄米で、精米が必要だと初めて知った方も多いはずだ。そんな米の流通に欠かせない精米機の専門メーカーとして、日本有数の米どころ、富山にあるのが株式会社タイワ精機だ。この地で50年にわたり自社で精米機を開発、製造、販売する。最初は農家用の精米機から始まり、やがて店頭精米機などの業務用精米機、コイン精米機、そして、家庭用精米機MAIKOの製造販売も手がけている。一貫するのは、大手の下請けにはならず、唯一無二の精米機を自社で開発し、つくること。その気概に満ちたものづくりについて、代表取締役の石仙(こくせん)博男さん、取締役管理部長の杉木大輔さん、研究部部長の田中敏晴さんに伺った。

タイワ精機は1976年、故高井芳樹前会長が仲間と共に7人で創業。農家向けの精米機の製造・販売からスタートし、苦労の末に販路を開拓。現在は全国の約400の代理店・販売店と取り引きをする。1994年にはコイン精米機の製造・販売を開始し、社名をタイワ農機からタイワ精機に変更した。石仙社長は振り返る。「創業者は先見の明がありました。1995年に食糧管理法が廃止されて米の販売が自由化されると、つきたてのお米が食べられることから店頭精米機がブレークしたのです。農家用から業務用へとシフトしていった変革の時期でした」。当時、家庭用精米機は他社製もあったが、さらに健康志向で、よりおいしさを求める、こだわりのある消費者向けに1999年に家庭用精米機「MAIKO」を発売した。「家庭用精米機でぶづき米ができる製品は業界初でした」。その後も「MAIKO」は改良され、玄米食に近い1ぶづき精米が可能になった。しかも、白米と同じように炊飯できるように。炊きあがりの食感も良く、玄米とほぼ同程度の栄養価があるという。

「他社より先に、新たな特長のあるものを商品化することは創業以来、引き継いでいることです」と話す研究部の田中部長。2015年に発売された現行モデルの「MAIKO」は、さらなる「静音化」「コンパクト化」「デザイン性の向上」を実現。ESOLA FACTORYのプロダクトデザイナー宮田孝典さんとともに、いまのキッチンに調和する形やカラーの検討を重ねて完成した。田中部長は「私たちの精米機は業務用と同じ原理を採用し、お米どうしをすり合わせることで、ぬかをやさしく取り除きます。低温精米でお米の温度も高くならず水分が保持されるため、炊飯時の味わいも格段に違うのです」と説明する。「MAIKO」は1ぶづきから白米まで、好みに合わせ15段階の調整が可能。精米時には、米とぬかがトレイに分かれて出てきて、取り出しや洗浄も簡単だ。中の掃除も1週間に1回ほどでよく、工具がなくても可能。米びつ機能もあり、そのまま米を入れておくことができて便利だ。価格は10万円近くと高価だが、ネット販売で人気となり、性能の良さで多くの利用者から高評価を得ている。そして、2024年には「うまみ精米」を可能にしたコイン精米機を発売した。


「うまみ精米」とは、どんな方式なのか。田中部長は「果物の皮の近くにうまみがあるように、デンプン層とぬか層の間に目には見えない『うまみ層』があります。お米に与えるストレスを軽減し、そのうまみを残した新たな精米方法です」と説明。同社のコイン精米機での「うまみ精米」には追加料金が必要だが、利用者も着実に増えていると石仙社長。うまみ精米は新しい市場価値を生み出している。「味覚が敏感な子どもが違いに気づいて、うまみ精米に切り替える家庭もあります」と笑顔を見せる。そして、いま、2026年の創業50周年に向けて新たな精米機を開発中だ。杉木取締役は「富山は米どころであり、工業県でもあります。ユーザーの声が近くで聞けて、高精度な部品を供給する協力会社が多い。それが技術開発の大きな強みになっています」と語る。営業が顧客の要望を聞くほか、会社の敷地内では最新のコイン精米機が稼働し、利用者の生の声をノートなどで収集して改良へつなげる。石仙社長もこれまで以上に明確なビジョンを打ち出し、タイワ精機独自の製品開発で米業界を盛り上げ、持続可能な農業と社会の発展に貢献したいと語る。

Since its founding in 1976 in Toyama, one of Japan’s foremost areas for rice production, Taiwa Seiki Corporation has developed, manufactured, and sold rice mills for the domestic and international markets. These include commercial models, coin-operated models, and the home rice mill MAIKO. Its constant commitment is to develop and build its own unique rice mills rather than become a subcontractor to major firms. The MAIKO is the first home model able to partly polish rice. It can polish rice in 15 different stages, from lightly milled to fully polished rice, offering quiet operation and a refined design. Its low-temperature milling equivalent to that of commercial models retains the rice’s moisture and enhances flavor when cooked. These features have boosted its popularity in online sales. In 2024, the company launched a new coin-operated model enabling Umami Milling. This proprietary technology preserves the invisible umami layer between the starch and bran layers, thus creating new market value. Toward its 50th anniversary in 2026, the company is developing its new rice mill. As President Hiroo Kokusen puts it, “Through our rice mills, we hope to help revitalize Japan’s rice culture and contribute to sustainable agriculture and society.”