富山プロダクツ

ウッドリンク株式会社 / 株式会社米三

PROFILE
ウッドリンク株式会社は1947年創業。住宅資材事業部(木材・建材・住設販売、プレカット、プレウォール)、製材事業部(国産材製材)を手がけ、北陸随一の規模と生産量を誇る。株式会社米三は、1848年創業で、家具・インテリア・生活関連商品の販売。新築・リフォーム・インテリアの設計、監理、施工。造作家具工事・内装仕上げ工事等の工事請負。Eコマース事業。酒類販売。カフェ・飲食事業など幅広く展開する。2020年発表の木と人シリーズは、2社が共同開発したオリジナルブランド。

木と人をつないでいく。

富山の杉の心地よさを、もっと、日常に。

富山県射水市に本社を構えるウッドリンク株式会社。製材事業部と住宅資材事業部を持ち、北陸随一の生産能力と規模を誇る。国産材製材を主とし、富山、石川、福井、岐阜、長野など、中部圏の林業・森林組合から良質な原木を安定的に調達して製材・加工を行う。代表取締役社長の原野剛行さんは、建築材料である国産杉の幅はぎ板を使い、日常の中で、もっと、木の心地良さを感じてもらえる商品を開発したいと考えた。そこで、北陸最大規模の家具販売店を運営する株式会社米三と共同で生み出したのが、2020年発表の「木と人」という家具ブランドだ。素材は富山県産を中心に、36mm厚の杉材を集成化した、4mの長さの幅はぎ板。相談を受けた米三常務取締役の増山武さんは、「無垢材と合板の間ぐらいの品質の良さが特長で、ウッドリンクさんの高い技術力と弊社の販売力を掛け合わせ、まず、オフィスという切り口でスタートしました」と振り返る。

オフィスにこそ、柔らかな杉の温もりを

杉と鉄を組み合わせたシンプルで力強いプロダクト。1日の3分の1を過ごすオフィス空間で、国産の天然杉を贅沢に使った家具と心地良い時間を過ごしてもらいたいとデザインされたものだ。デスク、シェルフ、パーティション、ミーティングテーブルが完成し、一般的なオフィス家具にはない温もりと高級感が漂う。無色の自然塗装が施され、木目や節など、そのままの素材感がうれしい。ウッドリンクで製材・集成化した材料を、富山県内の家具工房や鉄工所の職人たちが仕上げている。木には空気の浄化作用や調湿、断熱効果があり、音を和らげ、光の反射を抑える効果もある。杉は体積の6~7割が空気の隙間で、夏は涼しく冬は温かく感じられる。人が長く過ごすオフィスで、肌が直接触れる部分での使用に適しているのだ。「適正な価格で、心地良い空間となるよう10種類以上の試作を重ね、できるだけいらないものを排除してシンプルな形に。4mのテーブルを見ると、皆さんにいいねと言っていただけます」と増山常務は話す。

付加価値を高めて、森林資源を循環させる

 

原野社長は日本の杉と森林の課題について、次のように明かす。「実は杉は日本特有の木で、ほかの国にはない材料です。杉の魅力を、広く世界に伝えられたらと考えています。一方で、アメリカの木材需要急増によるウッドショックもあり、国産材の需要は益々高まっています。ですが、植林して毎年夏場に下草を刈り、枝打ちをして40年から50年育林するということは大変なこと。切ったまま放置するのも、切らずに放っておくのもダメです。国産材で循環型の仕組みをつくるには、森林の世話をし、切り出す職人さんたちに十分なコストを還元しないといけない。現状では原木1本が安いため、付加価値を高め、高い値段で取り引きされるようにするのが大きな課題ですね。急斜面が多い日本では大量生産型にはできず、木材を山から出すにもコストがかかるのです」。増山常務も、「実際、山に行って植林体験をしたことがありますが、ものづくりの背景やストーリーを伝えることは、このブランドにとって、とても重要なことだと考えます。山のことを知ってもらい、森林資源の循環につながる啓蒙活動ができるといいですね」と話す。

地域で循環する、富山らしいものづくりへ

「富山の人にとっては、地元の木が使われることで愛着が生まれ、山を守る意識にもつながります。また、木も人もオール富山でつくることで、配送コストやエネルギーも削減できます。将来は全て地元で循環することが理想」と原野社長。増山常務は、「この『木と人』のものづくりでは、かかわる人の「輪」を感じることができます。SDGsを踏まえ、サーキュラーエコノミー、循環経済とも言われますが、この商品1つということよりも、この商品を通じたブランドの意味を伝えていきたい。そして、より使いやすい価格で、もっと、たくさんの方に提供したいという思いがあります。プライスの幅を広げたり、つくり易くすることも大切で、いま、取り組んでいるところです」と、今後への抱負を語る。木と人のテーブルは富山県内のオフィスのほか、杉の柔らかな感触から障害者施設でも使われている。展示会の開催などでは問い合わせも多く、今後は住宅も含めて、幅広い場面で人気となるだろう。将来的には、全国展開、海外展開も見据えていると語るお二人。富山の杉の良さを活かした、世界に通用する魅力あるものづくりは、まだ始まったばかりだ。

 

 

WOODLINK, located in Imizu City, Toyama, was founded in 1947. With a lumbering and housing material division, it boasts the best production capacity and scale in the Hokuriku region. CEO Takeyuki Harano wanted to develop wooden products that provide comfort in everyday life, using solid laminated panels of Japanese cedar. Collaboration with Komesan, the biggest furniture outlets in Hokuriku, led to the launch of the KI TO HITO furniture brand in 2020. The materials are 4-meter-long solid laminated panels using 36-millimeter-thick boards of cedar, primarily from Toyama. “The key feature is quality between natural wood and plywood. We started from office furniture, combining WOODLINK’s excellent techniques with our sales capabilities,” says Takeshi Masuyama, managing director of Komesan. Well crafted from cedar and iron, these products have warmth and luxury beyond ordinary office furniture. The brand aims to widen the product range to home and other uses and expand the business globally while making widely known the charm of Japanese cedar as well as contributing to circulation of forestry resources.